仕事や家事、子育てに追われ、ふと立ち止まったとき、頭の中をぐるぐるする思考に気づくことはありませんか?

あの時、もっとうまくやれたはずなのに・・・。

このままで将来は大丈夫かな・・・。
過去の後悔や未来の不安。
ヨガ哲学は、私たちが感じる苦しみやもやもやが、どこから来るのかを教えてくれます。
それは、私たちが日々、3つの異なる「意識の状態」を行き来しているからです。
あなたの心を安らぎへと導く、大切なヒントになります。
意識の”3つの状態”
私たちの意識は、まるで、カメラのレンズのように、常にどこかへ向いています。
ヨガ哲学では、人の意識は3つの状態【アヴァスター・トラヤ】に分類されます。
- 目覚めの状態:外の世界(現実)に向かっているとき
例:目の前の景色を見る、コーヒーの味を感じる、キーボードを打つ、といった物理的な行為に集中しているとき。 - 夢見の状態:内側の世界(思考、感情、夢)に向かっているとき
例:夜に見る夢、目覚めているときに頭の中で繰り広げられる思考、妄想、想像、感情。 - 熟睡の状態:自分自身(無意識、心の奥底)に向かっているとき
思考や感情が全くない時の状態です
これらの状態は、まるでパソコンのOSのようなもの。
意識の向かう先が変わるだけで、私たちはそれぞれ違う世界を体験しています。
人の意識は、複数のものを同時に観ることはできません。
「世界は不安と心配ばかり。楽しいことなんてない、苦労ばかりだ。」
と感じる人もいれば、
「世界は喜びと幸せで満ちている。なんて素敵な世界なんだろう。」
と感じる人もいる。
同じものを見ていても、自分の心の状態が違うと、
世界は全く違うものに見えるのです。
1. 目覚めの状態(ジャグラット)
これは、私たちが「現実」だと信じている、今この瞬間の状態です。
私たちは五感を通して、外の世界を認識しています。コーヒーを飲んだり、子どもと遊んだり、仕事のメールを打ったり。
この状態では、「私」は、体や思考、感情と同一化していると信じ込んでいます。
だからこそ、思うようにいかない現実や、他人の言葉に心が乱れ、イライラや不安、怒りといった感情を感じてしまいます。
これは、意識が外の世界に深く入り込み、その世界に強く影響を受けている状態です。
2. 夢見の状態(スヴァプナ)
夜、眠りにつくと、私たちは肉体の感覚から離れ、心の中だけで世界を体験します。それが「夢」です。
夢の中で空を飛んだり、怖い出来事に遭遇したり。
目覚めているときは「現実じゃない」と分かりますが、夢の中にいる間は、それを現実だと信じています。
この状態は、私たちの心が、過去の記憶や未来への不安といった「思考」の世界を映し出している状態です。
ヨガ哲学では、目覚めているときに頭の中で繰り広げられる「思考」も、この「夢見の状態」と同じだと考えます。
頭の中で誰かと会話したり、未来への心配で心を乱したりしているとき、私たちは、心の中の思考という夢を見ているのです。
3. 熟睡の状態(スシュプティ)
これは、私たちが「何も考えていない」と感じる、深い眠りの状態です。
この状態では、意識は外の世界にも、思考にも向きません。深い静けさ、完全な安らぎに満ちています。
しかし、これは「無」ではありません。
朝、熟睡から目覚めたときに「ぐっすり眠れた」「スッキリした」と感じるのは、心の奥底にある、本来の安らぎに触れていた証拠です。
この状態は、私たちの心を覆い隠している、思考や感情の波が完全に静まり、本来の自分に戻っている状態です。
なぜ、この3つの状態を知ることが大切なの?
私たちが日々の生活で感じる苦しみや悩みは、
ほとんどが「目覚めの状態」と「夢見の状態(思考)」の間で生まれます。
私たちは、自分が誰なのかを、肉体や感情、思考といった一時的なものだと信じ込んでいます。
3つの状態を知ることは、私たちが
「心は常に変化するが、それを観察している自分は、どんなときも変わらない」
という真実を知るきっかけになります。
あなたは、頭の中をぐるぐるする思考に振り回されたとき、
「ああ、今、私は思考を見ているんだな」と気づくことができます。
3つの状態を超えていく
そうやって、一歩引いて自分を客観視することで、
「思考を超えた、揺るぎない自分」という、心の奥底にある完全な安らぎへと戻ることができるようになります。
これは、
”目覚めている”のに、”思考に振り回される”こともなく、
”熟睡している”時のように、深い安らぎと安心感を感じられるということです。
ヨガをして、自分に意識を向けていると、自然とこの状態を感じることができます。
それがヨガの目的で、ゴールです。
ヨガをしていると、3つの状態を超えたところにある、自分の本質を知ることができるんです^^
angie